たまに、頭の体操やら気分転換で数学をします。数学といっても、素数だとかの数論、あるいはゼータ関数絡みの積分計算をしたりする程度ですが。思わずに面白い結果が得られたりするとニンマリします。
さて、数学の世界には、数多くの未解決問題がありますが、殊、数論では素数に関連した多くの未解決問題があります。もっとも有名なもののひとつは、おそらくゴールドバッハの予想Wでしょう。双子素数Wの問題も有名で、個人的に色々考察していると、この2つは密接に関連しているように見えます。で、ゴールドバッハの予想ですが、これは誰にでも理解できる分かりやすいものです。
6以上の任意の偶数は、二つの奇素数の和で表すことができる
奇素数というのは、奇数である素数、つまり唯一の偶素数である2以外のすべての素数になります。ゴールドバッハの名前の由来は、Goldbachが1742年に、あの大数学者Euler(オイラー)に宛てた書簡の中で言及していることによります。→http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Letter_Goldbaxh-Euler.jpg
これが「予想」なのは、また数学的に証明されてないからです。2008年2月16日の時点で、11x1017までの全ての偶数については成立することがコンピュータで分かっていますが、いくら大きい数字で確認できても、無限に存在する数を相手に、証明したことにはなりません。反例がひとつでも見つかれば否定的に証明されることになりますが、反例が出てくる可能性は、ほぼゼロでしょう。 →http://www.ieeta.pt/~tos/goldbach.html
で、個人的に、これはいじり甲斐がある問題なので、たまに遊んでます。今のところ、いくつかの漸化式が導かれ、それらは双子素数の個数と結びついているのですが、詳細は省きます。その漸化式は、行列式でも使えば解けそうな気もしますが、行列に関する知識に乏しいので、そのままです。でも、いくつか興味深い関係式を得ることができます。
まず、ある偶数2nに対して、2つの奇素数の和で表すことの出来る素数のペアの個数をG(2n)で表すことにします。ここでは素数のペアの順も考慮することにします。例えば、8は8=3+5=5+3と2通りの表現があるので、G(8)=2となります。数式で書けば以下のような感じでしょうか。
ゴールドバッハの予想を証明することは、G(2n) > 0 がすべてのn(>=6)に対して成り立つことを示すのと同値です。このG(2n)は、双子素数計数関数π2(2n)を用いて、次のように表すことができます。
ここで出てきたf(2n)やg(2n)は、奇素数、奇数の合成数の組み合わせの数を表す関数で、この部分を具体的に表すことは出来ていないのですが、確率的な評価は可能です。確率的な評価は以下のようになります。十分に大きいnについて、
が成立。ここで素数計数関数π(2n)が出てきています。この結果を最初のG(2n)の式に代入すると、π2(2n)が打ち消されて、結果、次の式を得ます。
この評価式は、確率的に考えて算出しただけですが、どれくらいの精度があるのかちょっとエクセルで調べてみました。
青いのが有名なゴールドバッハの彗星。茶色が、得られた評価式です。
エクセルだと、扱える数の範囲に限界があるので、もっと大きな数で評価してみましょう。幸いに、G(2n)やらπ(2n)の数は、かなり大きいものまで計算されています。G(2n)は、
id:A107318
にあるように10
12まで知られていますし、素数の個数も同様に
id:A006880
で与えられます。これらを使って、上の評価式を検討してみます。
| n |
G(10^n) |
{π(10^n)}^2 / 0.5*10^n |
Ratio |
| 1 |
3 |
3.2 |
1.066 |
| 2 |
12 |
12.5 |
1.041 |
| 3 |
56 |
56.44 |
1.008 |
| 4 |
254 |
302.08 |
1.1893 |
| 5 |
1620 |
1840.1 |
1.1358 |
| 6 |
10804 |
12323.87 |
1.1406 |
| 7 |
77614 |
88333.05 |
1.138 |
| 8 |
582800 |
663887 |
1.1391 |
| 9 |
4548410 |
5170943 |
1.1368 |
| 10 |
36400976 |
41414558 |
1.1377 |
| 11 |
298182320 |
339167509 |
1.1374 |
| 12 |
2487444740 |
2828710093 |
1.1371 |
まぁ、結構1に近い比率ですね。更にnが大きいとどうなるか分かりませんが。Goldbach's partitionGの数は、知る限り、AT&Tのデータベース
に登録されているG(10^12)が最大だけど、これ早く更新されないかなぁ。
ちなみに、上のグラフで言及しているゴールドバッハの彗星(Goldbach's Comet
)ですが、これの移動平均は、上の評価式に驚くほどの近似を与えます。
緑の線が、Goldbach cometの移動平均です。確率的に得られる評価式(茶色)のラインとほぼ一致します。
また面白い結果が得られたら書き庫します。
ゴールドバッハの予想 Goldbach
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