数週間前に、初めてビオのマルシェに行った。というか(パリにいくつもある)マルシェに行くこと自体が初めてだったんだけど。ビオとはBIO、日本語だとバイオといった方がイメージしやすいと思うけど、日本でいうところの有機栽培だ。パリ市内には、3つほどビオのマルシェがあるようで、その中のひとつ、毎週土曜日に立つBatignollesのビオ・マルシェは、アパートからメトロですぐなので非常に便利。
写真は、最初に行った時のもので、この時期はバカンスの真っ只中、あまりお店も出ていなかったようだ。先週行ったときは、もっと密度が濃くなっていたけど。
さて、ビオは、普通に化学肥料などを使って生産される他の農作物に比べると、随分と手間がいるようで、値段も1-2割高めのようだ。それでも人はビオを求める。何故なら味が良いし、ずっと長持ちするから。しかも健康にも良いはずだという信念みたいなものがある。
実際のところはどうなんだろうという疑問も当然沸く。確かに味は良い。残留農薬に晒される危険性も低いだろう。では栄養学的に普通の作物と何か違いがあるだろうか? ビオを食べることは健康によいのか? はたまた害だったりするのか?
英国食品基準庁(Food Standards Agency)は、2003年に「scientific evidence does not show that organic food is any safer or more nutritious than conventionally produced food. 」と述べた
。有機作物の方が、従来の作物よりより安全で、より栄養価に富むという科学的根拠は見いだせなかったと。同じ時期の、フランスのFrench Food Safety Agency(FFSA)も同様の見解であったし、スウェーデンでも似た見解で、ビオの立場は相当弱いものだったようだ。だが、彼らは、ビオを否定したわけではなく、科学的根拠の蓄積を待っていたようだ(科学的根拠は”オーガニック”なものだからと述べている)。
昨年の2007年10月、ちょっとした前進があった。EUからの資金提供を受けた、イギリスのニューキャッスル大学による4年に及ぶプロジェクト(要は有機作物と従来の作物とどっちが栄養価が高いのか?)があり、その初期報告がなされたのだ。これによると、有機ポテトやキーウィー、ニンジンは、従来のそれと比して、多いもので40%もの多くの抗酸化剤(ビタミンCなど)を含んでいたらしい。また、有機的に栽培されたレタスやほうれん草、キャベツも、より多くのミネラルや抗酸化物質を含んでいるようだ。更には、有機牛乳は、従来の牛乳と比べて60%より多くの抗酸化剤やω-3脂肪酸を含んでいるらしい(ホントか?)。これは、まだ正式な最終報告ではないらしく、データ解析は進行中の模様(BBCのサイトより
)。
ω-3脂肪酸Gについて言及しておくと、2006年9月に、先ほどの英国食品基準庁は、有機牛乳と、普通の牛乳とに明確な差があることを認めている
。つまり有機牛乳にはより多くのω-3脂肪酸を含んでいると結論づけた。2003年当時と比べると大した進歩だ。ただ、そこは食に関することだけに解釈には慎重で、一口にω-3脂肪酸といっても、短鎖ω-3脂肪酸と長鎖ω-3脂肪酸とあるらしく、心臓病の予防に働くと言われる長鎖ω-3脂肪酸は、脂っこい魚(oily fish)に多く含まれているけど、有機牛乳に多いのは、この長鎖ω-3脂肪酸ではなくて、短鎖ω-3脂肪酸ですよと。短鎖ω-3脂肪酸は、体内で長鎖ω-3脂肪酸に変わるけど、そう効率良く変換されるものではないと。なので、沢山飲めば良いってもんじゃないよと。まぁ、その通りだろう。
ここ2-3年でいくつかの報告(論文)があがってきていて、どちらかいうとビオが好ましいとする報告が多いようだ。この手のリサーチは、デザインも難しく、また長期に渡る傾向があり、結果の解釈も難しいことが多い。しかしながら、客観的事実を積んでいくことは有用なことに違いない。
ビオは明らかに健康に益する →http://www.fibl.org/english/news/press-releases/2006/1031-food-quality.php
有機トマトには抗酸化剤のフラボノイドが多く含まれていた →http://pubs.acs.org/cgi-bin/abstract.cgi/jafcau/2007/55/i15/abs/jf070344+.html
個人的な感想を述べれば、有機栽培っていうと何か新次元の栽培法みたいな響きだけども、何でもない、これはただの原点回帰だ。ただ、便利なことに慣れきった現代人にとっては、原点回帰という行為は何かと困難を伴うことが多い。しかし、ビオの場合、それをやってのける生産者たちがいる
ことを忘れてはならないだろう。我々は、ただただ、その恩恵に浴するのみだ。贅沢なもんだ。
















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