井の中の蛙大海を知らずの続き?

 よく知られた諺(ことわざ)「井の中の蛙(かわず)大海を知らずLink 」とは「胡蝶の夢」で有名な荘子W(そうし)の著書『荘子(そうじ)』秋水篇の中のエピソードによる。

北海若(ほっかいじゃく)曰く、井蛙(せいあ)には以(も)て海を語るべからざるは、虚に拘(かかわ)ればなり。夏虫(かちゅう)には以て冰(こおり)を語るべからざるは、時に篤(あつ)ければなり。曲士(きょくし)には以て道を語るべからざるは、教えに束(つか)らるればなり。

意訳: 北海の神である若(じゃく)が言った。
「井戸の中の蛙には、大海は語れない。自分の居場所にこだわっているから。また、夏の虫に氷は語れない。夏の季節しか考えないから。大局を見ないものは真理を語れない。卑俗な教理に捉われているから。」

出典: 荘子 外篇・秋水第十七 第一章

 乱暴に言えば「悠久の自然や時間に比べれば、ちっぽけな人間の知識なんて当てにならない」ってとこだろう。ところで、秋水篇は7章から成っているようで、この諺「井の中の蛙大海を知らず」の出典としては、この第一章ではなくて第4章の方Link だという説もある。確かに後者の方がそれっぽい。どちらにせよ、秋水篇の中であることには変わりない。

 で、ここからが本題だけど、別件でたまたま「井の中の蛙大海を知らず。されど空の高さと水の深さを知る。」という言い回しを見てびっくり。えっ、そんなのあったっけなぁ。調べてみると、後半は色々バリエーションがあるようだ。「されど空の深さを知る」「されど天の広さを知る」「されど地の深さを知る」「されど空の青さを知る」などなど。どうも日本で後世の人が後付けしたらしい。

 じゃ、誰がこんな洒落たことを最初にしたのだろう? 適当に調べて見たが、どうもはっきりしない。使われているものとしては、小林よしのり氏の漫画『ゴーマニズム宣言』4巻第85章に「井の中の蛙大海を知らず。されど空の深さを知る。」とあるらしいし、2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」(三谷幸喜 脚本)での近藤勇に台詞に「井の中の蛙大海を知らず。されど空の高さを知る。」というのがあるらしい。最も古そうなものとしては、陶芸家河井寛次郎W(かわいかんじろう 1890-1966)氏が、自分の作品を批判された際に「井の中の蛙大海を知らず。されど天を知る」と言ったというエピソードがあるLink ようだ。

 個人的には、江戸時代あたりに川柳の感覚でどこかの風流人がとってつけたんじゃないかなぁと妄想するけど、こういうことを詮索するようでは荘子に怒られるかな。

 余談だけど、「井の中の蛙 千代大海を知らず」というのもあるらしい。うむ、引退した力士だから、蛙が知らないのも無理はないか。。

 

― by まーちん @ 05:23 pm commentComment [2] pingTrackBack [0]

この記事に対するコメント・トラックバック [2件]

1. miumiu — 2010/01/25@14:29:17

こんばんは。おげんきですか?
私は仕事が激務になってしまいました。
井の中の蛙の続き・・、私は「天の高さを知る」ってどこかで見て、
なんだかおしゃれだなあって思った記憶があります。
いろんなパターンがあるのですね♪

Owner Comment まーちん Website  2010/01/25@15:44:39

こんにちは。激務ですか。体調は崩さぬよう。
先入観にとらわれることなく、柔軟な発想をしたいなぁと常々思っています。

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